5年後、あなたのシステムを保守できる技術者はいますか?

「そろそろ限界かもしれない」――長年稼働してきたVB/VCシステムの老朽化に直面し、リプレースを検討されている方にお伝えしたいことがあります。

「同じ環境で作り直す」、その前に

リプレースとなると、最新のVisual Studioで作り直すことが最も手堅い選択に思えるかもしれません。しかし私たちは、この機会にこそ立ち止まって考えていただきたいと思っています。

本当に、もう一度Microsoft製品に縛られる必要があるでしょうか。

Visual Studioを使い込んできた人間だからこそ言えること

私自身、C言語やμITRONといった組み込み開発からキャリアをスタートし、その後、制御系システムの開発でVBやVCを数多く手がけてきました。当時、システム開発といえば、一部の専門領域でUNIX系が使われていたものの、事実上Microsoft一択の時代でした。Visual Studioは最も現実的で強力な選択肢であり、私自身も大いに助けられました。

だからこそ断言できます。今は違います。

あの頃と比べて、開発言語もインフラも選択肢が劇的に広がりました。かつてVisual Studioでなければ実現できなかったことの大半が、よりシンプルに、より低コストで、特定のベンダーに縛られずに実現できる時代です。そしてこの流れは今後さらに加速していくことはあっても、逆戻りすることはありません。

Microsoft依存を続けることの代償

Visual Studio、Windows Server、SQL Server、CAL――Microsoft製品を使い続ける限り、ライセンス費用は積み上がり続けます。サブスクリプション化が進む昨今、この負担は年々重くなる一方です。

ハードウェアも同様です。Windowsベースのサーバーは、Linux環境と比較してより多くのメモリやCPUを要求します。制御系・業務系システムの多くは、冷静に見ればWindowsサーバーでなければならない理由がほとんどないのが実情です。

Microsoft自身が、すでに舵を切っている

実は、この流れを最もよく理解しているのはMicrosoft自身です。

VS Code(オープンソース・マルチプラットフォーム)を主力エディタに据え、WSL(Windows上のLinux実行環境)を標準搭載し、AzureではLinuxコンテナを積極的に推進しています。これらはすべて、「Windows・Visual Studio一本の世界」に限界があることをMicrosoft自身が認めている証拠と言えます。

プラットフォームの提供者が方向転換しているのに、利用者だけが留まり続ける合理性はありません。

技術者の世界で何が起きているか

この変化は、開発者コミュニティの動向にもはっきりと表れています。

Stack Overflow Developer Survey 2025 より

Python 利用率 前年比 +7ポイント の急伸。AI・データ分析・バックエンドの共通言語として不動の地位
Go / Rust それぞれ +2ポイント の着実な成長。GoはTIOBEで13位→7位へジャンプ
C# TIOBEインデックスで2023年のトップクラスから 5位へ後退(-3.41%)
VB.NET 求人数はC#の 5〜10%程度 にまで縮小。新規開発で選ばれることはほぼ皆無

ここで見落としてはならないのは、これから業界の主力になる若い技術者たちは、そもそもMicrosoftが唯一の選択肢だった時代を経験していないということです。

彼らが最初に触れる言語はPythonであり、使う環境はVS CodeやLinuxであり、Visual Studioを開いたことすらない技術者がこれから多数派になっていきます。

つまり、今Visual Studio系で作り直したとしても、5年後・10年後にそのシステムを保守できる技術者を見つけること自体が、年を追うごとに困難になっていくのです。これはコストや意欲の問題ではなく、技術者の母数が構造的に減っていくという、不可逆な変化です。

この構図は、今まさに日本中で問題になっている「COBOL人材の枯渇」とまったく同じです。COBOLが悪い言語だったわけではありません。当時の金融・基幹業務には最適解でした。しかし今、COBOLシステムの保守は深刻な経営課題になっています。技術が劣っていたからではなく、それを扱える人がいなくなったからです。VB/VCは、このCOBOLと同じ道を10〜15年遅れでたどっています。今はまだ保守できる技術者がギリギリ現役世代にいますが、その窓はこの先急速に閉じていきます。

では、何で作り直すのか

超リアルタイム性(ミリ秒単位の応答保証)が求められるケースを除けば、Pythonが有力な選択肢になります。豊富なライブラリ、圧倒的な技術者人口、データ分析・AI連携への拡張性。将来にわたって「技術者が見つからない」というリスクを大幅に下げられます。より高い処理性能が必要な場合には、GoRustも視野に入ります。

さらに、制御ロジックはPythonで構築しつつ、管理画面や操作インターフェースはLaravel(PHP)によるWebアプリケーションとして実装する、という組み合わせも有効です。これにより、現場のオペレーターはブラウザさえあればどこからでもシステムにアクセスでき、専用PCへのソフトウェアインストールも不要になります。

従来のVisual Studio系システムでは、「そのPCの前に行かないと操作できない」「ソフトを入れた端末でしか使えない」という制約が当たり前でした。しかし今は、ブラウザで置き換えられる部分をWeb化することで、場所も端末も選ばない運用が実現できます。タブレットやスマートフォンからの確認・操作も視野に入ります。

いずれの技術も特定のベンダーに依存せず、Windows・Mac・Linuxを問わず動作します。「Microsoft環境でなければ動かない」という縛りから解放されること自体が、運用の柔軟性を大きく広げるのです。

リプレースは「同じものを新しく作る」だけではない

せっかくコストと時間をかけてリプレースするのに、また同じ構造に縛られるのはもったいない話です。「いつかは脱却しなければならない」のであれば、システム更新という今このタイミングが、最も無理なく切り替えられる機会です。

先送りにすれば、その間もライセンス費用を払い続け、対応できる技術者の確保はさらに難しくなっていきます。


株式会社生々堂 / realloc

私自身、C言語・組み込み系からVisual Studio環境での制御系開発、そして現在のWeb・業務システムまで、26年以上にわたり技術の変遷とともに歩んできました。Microsoft一択の時代も、その先の時代も経験してきた私たちだからこそ、今の時代に合った過不足のない技術選定をご提案できます。

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